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日本の核開発能力は? 技術あれど実証は困難 地下実験ムリ
海外は日本を「潜在的核保有国」とみなしている。「日本の技術力があれば、数カ月で核兵器を保有できる」(米紙クリスチャン・サイエンス・モニター)というのが、国際社会の一般的な認識で、北朝鮮の核実験を契機に日本の核武装を警戒する論調が展開されている。本当に日本が独自に、短期間で核兵器を製造することは可能なのだろうか-。イデオロギーや国際政治の問題とは切り離して、技術的な側面から日本の核兵器開発の現実性を検証しておく必要がありそうだ。
▼材料
核兵器を短期間のうちに開発するためには、必要な「材料」と「技術」を持ち、その両方が即戦力でなければならない。
原子爆弾には核分裂物質としてウランを使う広島型とプルトニウムを使用する長崎型があるが、現実性があるのは後者だ。プルトニウムは、原子力発電の使用済み燃料に大量に含まれる。
国内では55基の商業発電用原子炉が稼働しており、平成17年末の時点で国内のプルトニウム保有量は長崎型原爆の790発分に相当する約5・9トンにのぼる。このほかに約38トンが海外の再処理施設に保管されている。
材料は問題なく確保できそうに思えるが、原子炉物理が専門の技術評論家、桜井淳氏は「簡単には判断できない」と指摘する。
長崎型原爆で使われるのは、核分裂を起こしやすいプルトニウム239の割合が約93%の兵器級プルトニウムだが、日本の原発(軽水炉)の使用済み燃料は不要なウランなどから分離・精製してもプルトニウム239の割合が65%程度にしかならない。
「軽水炉の使用済み燃料でも原爆の製造は理論的に可能だという報告もあるが、実際に作った国はない」のだという。
北朝鮮が使ったとされる黒鉛減速炉はチェルノブイリ原発などと同型で、兵器級プルトニウムの製造炉になる。
日本でも、高速増殖炉が稼働すれば、プルトニウム239の割合が96%の超兵器級プルトニウムを取り出すことができる。しかし、「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故(平成7年)のために高速増殖炉計画は長期停滞し、現在は運転再開に向けた改造工事が始まった段階だ。
「軽水炉使用済み燃料から抽出したプルトニウムで、核兵器製造は"できる"とも"できない"とも言い切れない」と、桜井氏は語る。
▼技術
一方、原爆の原理や基本構造はそれほど難しいものではなく、「臨界計算や基本設計は大学院修士1年レベルの炉物理の知識があればできる」(桜井氏)とされる。
しかし、長崎型の原爆では、100万分の1秒より高い精度で爆発を制御する「爆縮」と呼ばれる高度な技術が不可欠。原子力を平和利用に限定してきた日本では、爆縮に精通した専門家はいないという。
「設計通りに爆縮が起こせるかどうかは、実験を積み重ねて検証する必要がある。北朝鮮やパキスタンなどのように日本より技術力が未熟な国でも達成された技術なので決して不可能なわけではないが、すぐにもできるほど簡単ではない」
▼実験
国産の原爆が完成したとしても、最終段階の実験はどうするのか。日本の国土の中で、地下核実験の場所を確保するのは限りなく難しいと考えるのが普通だ。
米国はウラン爆弾は実験なしで広島に投下したが、プルトニウム爆弾では長崎に投下する前に実験を行っている。
高度な爆縮技術を要するプルトニウム爆弾では、核実験に成功することと核保有が同義とされてきた。イスラエルだけがその例外で、核実験を行っていないが、200発のプルトニウム爆弾を保有しているとされる。
桜井氏は「1940年代と現在の決定的な違いは、コンピューターの存在。世界最先端の日本のシミュレーション技術で、実験を行わずに原爆の信頼性を検証する方法もある」としている。
しかし、実験データの裏付けがないシミュレーション結果は、信頼性に疑問が残る可能性も否めない。実際に核兵器を持とうとすれば、安全が確保できる専用施設を造るだけでも数年は要する。
桜井氏は「意図すれば数年先くらいに、日本が核兵器を作る技術力を持てるのは間違いない。しかし、2~3カ月とか1~2年では不可能だ。JCO事故と同じレベルで核兵器を考えるのは大きな間違い」と話し、すぐにでも核兵器の保有が可能だとする国内外の論調を強く否定している。
公開中の映画「日本沈没」にも登場し、世界最高性能を持つ海洋研究開発機構の科学掘削船「ちきゅう」が6日夕、青森県八戸港を出港する。9月上旬から下北半島東方沖で初の試験掘削に臨む。海洋石油掘削に用いるライザー掘削技術を使い、科学掘削では世界最深となる海底下約2200メートルを目指す。
毎日新聞8月4日20時14分更新
スイスは1988年まで核武装を目指していた。スイスは自国開発の他、仮想敵のソ連から核の購入を画策したし、スウェーデンと共同開発も行っていた。1995年のスイス政府の発表によれば、スイスの核実験場は国内で半径2~3kmを封鎖して地下核実験する計画だった。スイスが核兵器開発を放棄したのはソ連崩壊で敵がいなくなったから。
要するに、日本よりも遥かに国土の狭いスイスでも国内の半径2~3kmを封鎖して核実験をする予定だった。
だからもし、「イスラエルは原爆実験をしていないから(実験不要の)ウラン原爆しか持っていない」という人がいるとすれば、それは日本が情報鎖国であるからではなく、単にそのご当人が、雑誌や単行本によって世界をしろうとする意欲に欠けていたのであろう。
イスラエルは、フランスやインドと同じように、プルトニウム原爆からスタートしなければならなかった。そして、もちろん、ちゃんと実験を重ねてきている。
最初の地下核実験は、テルアヴィヴやエルサレム市からたった150kmくらいしか離れていないネゲヴ砂漠で行なわれた(ちなみにディモナの核工場/研究施設となると、さらに行政中心地には近い)。
核開発は国家の生存のためにするのであって、たとえば惑星探査ロケットを飛ばすというような、興味先行の道楽ごととは違う。必要とあらば首都の近郊ででも核開発をし、核実験をするのは当然である。また、その決意もできないのならば、その国は、核爆弾を必要としていないのか、さもなくば、生存する資格が怪しいのである。
日本には核実験場がないではないか、と言って核武装に反対する日本人がいるのは、真に驚くべきことだろう。
これも自我が曖昧で意志薄弱な大衆が「非線形」の問題を自分なりに解こうとしたときに見られる、典型的な「価値崩壊」である。つまり「日本国は生存するに足る共同体であり、そのためには核武装しなければならない」という価値認定および政治的目的の判断が最初になされているのに、「核実験すれば住民が反対するだろう」→「だったら核実験はしにくいだろう」→「だったら核武装という政治目的の方を見直した方がよいだろう」と、少しでも頭を使わずにすむ楽な方へ、自分から落ちていってしまう。そうやって周囲に合わせるだけのあやふやな自我をいつまも肯定したいのである。
人間の権力競争と社会的正義が両立するためには、崩してはいけない価値、諦めることのできない政治的目的があることが、典型的な大衆には理解できないのは、ソクラテス時代よりこのかた、仕方がないとはいえ、残念である。
日本には国有地の山もあれば、絶海の無人島もある。フルスケールの爆発実験は、それら国有地の地下で行なわれる。
『ニッポン核武装再論――日本が国家としてサバイバルする唯一の道』兵頭二十八著
実際に、冷戦初期のイギリスでも同様の議論が持ち上がり、施設利用をアメリカに打診した。米国に断られると、1952年10月にオーストラリアで英国最初の核実験を成功させた。やがて米英が補完し合うようになり、70年代には米国のネバダ地下核実験場を借りて、4年間に計5回の実験を行った。
他国と共同開発して相手国で核実験を行なう方法もある。
イスラエルと南アフリカも共同開発をして、1979年9月、南ア沖の海上で核実験を行なった。実はカーター政権時代にそれまで41回も同様の閃光が偵察衛星によって探知されていたが、イスラエル絡みなので、ウヤムヤにされていた。
1982年4月、英国がネヴァダ地下を借り、核実験
最悪の場合、実験なしで開発、製造しておくというのも1つの手だ。コンピューター・シミュレーション技術などを活用して開発・製造しておけば、危機が迫ったときに核実験を行なって配備するまでの時間が大幅に短縮できる。
プルトニウムを使った核爆弾の製造には、高度な技術が求められるが、現在のコンピューター・シミュレーション技術などを活用すれば、北朝鮮にも爆弾製造は可能というのが多くの専門家の一致した意見だ。
(略)
仮に核爆弾開発に成功したとしても、核実験が不可欠とされるが、この点について、米の科学国際安全保障研究所のコレイ・ヒンダーステイン上級研究員は「設計で狙う100%の威力が出なくても合格とするなら、核実験なしでも核爆発はほぼ確実に起こせる」と指摘。広島や長崎に落とされた爆弾のたとえ数分の一の爆発力でも「大変な被害になる」と、北朝鮮の核があなどれないことを強調している。
2003年4月25日付 読売新聞
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